黒子企業と黒子たち
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黒子企業と黒子たち

WOVN MAGAZINE

WOVN に興味がある読者が得られるもの: 私たちの会社に所属する製品開発者の雰囲気
WOVN に興味がない読者が得られるもの: 多分, サーバントリーダーのなりかた?
所要時間: 10分 (実際に, 予備知識のない方に読んでもらいました)

この記事を書いたモチベーション


理想

 市場に価値をなめらかに提供するため, 仕事の流れ全体を最適化したい.


課題

 リモートワークで所属チームの外の方と接触する機会が減り, チームの外にどんな方々が在籍しているか分かり難い. とくにフルリモートワーク体制以降に入社した方は, これを感じやすい. 今後, チームのサイロ化が進み, セクショナリズムが生まれ「チームを超えて会社全体で市場に価値を提供する」意欲が低下し, チームを超えた仕事の受け渡しに問題が発生するかもしれない.


課題と関係する参考文献


仮説
 
  自身を含めた製品開発に関係する方の人物紹介記事を書くことで, 勤続年数や部署を超えた相互理解が進み, 仕事の流れがスムーズになるかもしれない.


検証

  • 先行指標: 社内で記事読んだよって言ってもらえた回数 / 記事公開から一ヶ月間

  • 遅行指標: 社内カンバンボードのチケットが分析開始から準備完了になるまでの時間


想定読者

  • 既に WOVN で働いている方

  • これから WOVN で働くことに興味がある方

  • WOVN に興味がない方 (もしかしたら, この記事で WOVN に興味が出るかも?)


私について

 読者の方に, 私たちの会社には, どのような方々が在籍していて, どのような雰囲気なのかを知っていただきたく, まずは自己紹介をさせてください. 改めまして, WOVN でプロダクトオーナーとして働いている「幾田雅仁」と申します. 私の名前やハンドルネーム(cooldaemon)をネットで検索しても手に入らない情報として, 私が WOVN で働く際に大切にしていることを説明します. それを自己紹介の代わりとさせてください.

  • 黒子であること

  • 本質を探求すること

  • 全体最適を目指すこと

 三つ挙げたのですが, 今回は「黒子であること」に焦点を当てます. 


私たち WOVN のビジョンと私の思い

 黒子であることを説明する前に, 私たちが掲げているビジョンについて紹介させてください.

 次のスクリーンショットは, 私たちが保有するサイト内のとあるページに記載されている「私たちのビジョン」です.

 インターネット空間をローカライズする
世界的な黒子企業になる

 私はいつも, その会社が掲げているビジョンを見てから入社を決断しています. 実は前職も「​​誰よりも早く挑戦, 失敗し, そして復活する」というビジョンに惚れて入社し, 約八年間, そのビジョンを体現するべく力を尽くしました. そのビジョンが改定されそうになった際には, 退社をかけて抗議したほど, そのビジョンに惚れ込んでいました.

 話を私たちの会社に戻しましょう. そんな私が次に惚れ込んだビジョンが「世界的な黒子企業になる」です. このビジョンの詳細は, 私たちの会社が社員のみなさんに配布しているカルチャーブックや, 「WOVN」「黒子」などのキーワードによるネットの検索結果をご参照ください. 私は, 「エンドユーザーは, 気が付かない内に私たちからサービスの提供を受けており, エンドユーザーがそれに気がついたときには, 既に私たちのサービスはエンドユーザーにとって無くてはならない存在になっている」ことを目指すと解釈しています. 少し補足すると, WOVN.io という私たちの製品のエンドユーザーは, WOVN.io をご利用中のお客さまのホームページを訪問されるユーザーとなります.

 実は, 私のハンドルネームは, FreeBSD という OS のマスコットキャラクターであるデーモン君に由来しており, コンピューターの中で人知れず働く妖精(デーモン), 即ち常駐プロセスみたいな人になりたい!と約二十年ほど前に思い立って命名しました. リソースを大量消費したり, ゾンビプロセスになると kill -9 コマンドを発行されてしまうので, 軽量に働きたいといつも考えています. だから Simple とか Agile とか Erlang が大好きです. そんな私が私たちの会社のビジョンを見かけてしまい, 思わず転職してしまったのは, もはや必然であり, 仕方のないことでした.


黒子であること

 黒子企業になるためには, そこで働く方々も黒子であることが求められると, 私は都合よく解釈しているため, 黒子であるとは何か考えてみようと思います. まず, 黒子の根底にあるのは, 「関係者たちを輝かせる達人」であると私は考えています. 私たちの WOVN.io という製品を例に考えると, ローカライゼーションという部分的な行為だけでは最終的なエンドユーザーにとっての価値は生まれず, 私たちのお客さまが元から持っている内容/主役をローカライズ/演出し, エンドユーザーにその結果を届けたときに価値が生まれます. よって主役はお客様のコンテンツであり, 私たちの製品は黒子であると考えられます. これを人に置き換えるとどうなるか, 私の考えを述べてさせください.


関係者たちを輝かせるには?

  • 準備を行う

  • 状況把握を行う

  • 言語化や図示を行う

  • 合意形成を行う


 ここで挙げた要素は, そこまで深く考察したわけではないため, 重複や漏れがあるかもしれませんが, 私の黒子の定義が, おおよそ読者と共有できれば良いと考えています. 誤解を生まないよう, それぞれに少し説明を付け加えます.


準備を行う

 黒子にとって, もっとも基本的な振る舞いです. これは不確実性を無視した壮大で緻密な計画の作成を行うことではありません. 不確実性を織り込んだ準備と計画作りを行うことを示しています. 物事の成功は準備が大きく左右します. 数多くある準備の例を幾つか挙げると, ゴール設定はしたか? 関係者は誰でどんな性格か調べたか? 提案は関係者に魅力的か? 提案はリクスを織り込んでいるか? 事実を集めて仮説を作ったか? 仮説はどう検証するのか? などです. 最終的に誰もが, 準備を自律的に行えるよう, 実践している姿を見せ, 必要性を伝え, 試してもらい, フィードバックを行うのが黒子です.


状況把握を行う

 もし, 物事の進行が「準備, 実行, 振り返り」の各フェーズの繰り返しで構成されていたとしたら, 状況把握は, 全てのフェーズで必要となる振る舞いです. 世の中は複雑なシステムで構成されており, 人の営みもシステムの一部であり, 人はシステムに支配されています. よって, 状況を把握するとは, 即ちシステムを見抜くことを示しています. 望みの結果を得る, 臨機応変な対応を成功させる, 最小限の力で最大の効果を生むために必要な振る舞いです. テクニックとしては, 行動分析やシステム思考などが役立ちます. 関係者が望む結果を導くため, 関係者に背景となるシステムの現状を伝え, 関係者の判断や行動を促すのが黒子です.


言語化や図示を行う

 状況把握の一要素ですが, とても大切な黒子の振る舞いであるため, 個別に説明します. 関係者に質問を行い, 関係者が自身で気がついていない強みや, 望みなどの言語化を手伝い, 必要があれば, それを第三者に代弁し, 関係者が自ら行動できるように促します. 関係者にとっては, 黒子から繰り返し, あなたやチーム, 会社のゴールは何ですか? それは何故ですか? どうやって測りますか?と問われ続けるため, とても辛いかもしれません. 心当たりがあります. ごめんなさい. でも, これが黒子の振る舞いなんです. ごめんなさい. 決して, あなたを責めているわけでも, 否定しているわけでもありません. ごめんなさい. 言語化を手伝いたいのです. ごめんなさい. 全ての関係者への意思伝達を助けたいだけなんです. ごめんなさい. ごめんなさい.


合意形成を行う

 関係者の多様性を活かし, ガードレールを設置し, 全員で一致団結してゴールを目指す状態を作り出す振る舞いです. これがスムーズにできたら黒帯黒子です. メタな話ですが, 合意形成の必要な要素であるガードレールやゴールすら合意で作ります. 何でも合意で作ります. ここで一つ, アフリカの諺を紹介させてください.

「早く行きたければ, 一人で進め. 遠くまで行きたければ, みんなで進め.」


 関係者全員が遠くまで行けるように場を整えるのが黒子です.


 私の黒子の定義は以上です. 黒子とは, 人や組織を行動へ促す達人であり, 学習とは何かを熟知した学びの達人であると私は考えています. もしかすると, 読者はこれらの説明から, サーバントリーダー, アジャイルコーチ, ファシリテーターなどの特定の役割を想起するかもしれません. しかし, これら黒子の振る舞いを, 社内の一部の特定の役割を持った人々だけが行っているならば, いつまでたっても私たちの企業のビジョンが達成されることはないと私は考えています. 私たちの会社の社員全員が黒子のマインドセットを持つことで, 世界的な黒子企業を目指せると私は強く信じています.


黒子への入り口

 世の中や社内に黒子が増えることを願って, 幾つか黒子の入門書を紹介したいと思います. しかし, ただ本を読んでも, 実際の仕事では役立ちません. 白帯黒子の嗜みとして, 常に次のサイクルの実行をオススメします.

  1. あなただけの理想の黒子を妄想する

  2. 自分の現在地点と理想の黒子の間にあるギャップが何か仮説を作る

  3. ギャップを解決する可能性を求めて本を読む

  4. 実際の仕事で試す

  5. 他者に積極的に説明する

  6. 4 と 5 の結果から, 新たなギャップを発見し, 1,2,3 のどれかに戻る

 人間は, 自らの求めていることのみ習得できます. また, 誰かに教えるつもりで学ぶことが, もっとも学習効率が高いのです. では, 幾つか入門書を紹介します. 英語版が存在するものは少ないです. 英語圏の方, ごめんなさい.

  • アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

  • エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

  • パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

  • システム・シンキング入門 (日経文庫)

  • なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方

  • 偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則

  • ザ・ゴール

  • ザ・ゴール2

  • イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」

  • ダイアローグ――対立から共生へ、議論から対話へ


私たちの会社に興味がない方

 私たちの会社に興味がない方は, ここで, この記事を読み終えてください. その方が時間の節約になります.

私たちの会社の黒子たち

 私の黒子の定義と黒子への情熱が読者に伝ったところで, 私たちの会社に在籍している黒子を何名が紹介させてください. 私にとって, WOVN は五社目(一社につき最低五年以上在籍してます)に入社した会社であるため, 観測範囲が狭いかもしれませんが, ここまで同僚を助けてくれる人材が揃っている会社も珍しいと感じています. ここで, 私が入社時にお世話になった方々を紹介します.

D, Jerome, Tim, Brett, L

 入社しても右も左も英語も分からない私に, WOVN での仕事を教えてくれた方々です. D と Jerome は同じチームの先輩として, Tim, Brett と L はチームを超えて, 私が仕事をできるように, 道を脱線しないように, メンターになってくれたり, コードレビューを行っていただいたりしました. 私が, 最初に気に入った私たちの会社の要素は, チームを超えてコードレビューするマインドセットを持っている方が社内に在籍していたことです. とくに Brett のコードレビューは, とても参考になりました. 入社したばかりの私は, 既存コードに対して改善したいと思っても, どこまで修正して良いのか迷いを持っており, 様子見で消極的に修正を行っていました. しかし, Brett の力強いコメントに後押しされて, かなり大胆にコードを修正することができました. また, 入社した直後, すぐに Tim と L が話しかけてくれたり, Tim がランチに誘ってくれたことを私は忘れません. しばらく, 社内のことで分からないことを, 私とは違うチームの Tim に相談していたのは, Tim がとても話しかけやすい雰囲気を持っていたからです. Jerome もリモート経由でしたが, Jira のチケットで私ができそうなタスクを推薦してくれたり, 私が働けるように, かなり気をつかってもらいました.

 ここで一つ, 告白をさせてください. 実は, WOVN 入社前に私は, 前任の Chief Product Officer から「WOVN の文化やシステムのアーキテクチャなど, 製品開発に関するあらゆることを D から学べ」とアドバイスをいただいており, 集中的に D を観察し続けていたことを, ここに告白します. 実際, D は, 自らの仕事を高速に選択し対応しつつも, 手厚くチームメンバーをサポートしており, 私もその恩恵を受けていました. 開発者時代の私が仕事の師匠は誰?と問われれば間違いなく D と応えます.


まだまだ存在する黒子たち

 本当は, 同僚のプロダクトオーナーたちやスクラムマスターたち, 各セクションヘッドたちやチームリーダーたちについても, 普段, 私が何を感じているのか触れたいのですが, 私が入社した頃の話以外に触れてしまうと, 話が広がりすぎてしまうため, 別の機会に, 改めて, 私が今, 私たちの会社で働けているのは, 彼らの助けがあってのことだと伝えたいと思います. また, Product Division とは違う部署の方々や, 私の上司にあたる方々からも, 私は多くの助けを頂いていますが, こちらも別の機会に触れさせて頂ければと思います. ただ, 読者にご理解いただきたいことは, チームを超えて助けてくれる方々が私たちの会社には多く存在しているということです. 


私の思考限界

 私は常に自分の役職や立場を人に譲ったり終了していきたいと思っています. 関わる人や組織が成長して自立してほしいと願っていますし, 私自身も非常に未熟なため, 常に新しい立場で自身を鍛えたいと考えています. 黒子のマインドセットとしては, これで良いと信じているのですが, 黒子製品の作り手としては, お客さまやエンドユーザーに製品から離れられては困るため, 人と製品を混ぜて語ってはいけないなーと思いつつ, 答えがないまま, 筆を置こうと思います. 駄文に付き合っていただき, ありがとうございました. もし, あなたが少しでも私たちの会社で働く方々に興味を持てたなら幸いです.


 私たちが黒子をのぞく時,

黒子もまたこちらをのぞいているのだ.


謝辞

 年末が近づいて浮ついた感じになり, ノリと勢いで微妙な駄文を作ってしまいごめんなさい. それを許容してくれた懐が深い社長室と翻訳者に感謝を!


# Writer Profile
名前:幾田 雅仁 (IKUTA Masahito)
部署:Product Division
WOVN 歴 :一年と十ヶ月


Thank you💚
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