一つのことをいろんな言葉で表現するということ
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一つのことをいろんな言葉で表現するということ

WOVN MAGAZINE

バラ

私たちがバラと呼ぶものは、他のどんな名前で呼んでも、同じように甘く香るわ

シェイクスピア『ロミオとジュリエット』において、「あぁロミオ!どうして貴方はロミオなの?」に始まる有名なシーンの締めのセリフです。

初めてこの一文を読んだときにその表現力の凄さに感心したのが、文学とかを少しだけ好きになったキッカケになりました。とある物事や事象に対して、それを何と呼ぼうが、その本質自体は何も変わらないんだなと。
でも「言語化」なんて言葉が最近は流行っていますが、「言語化」をすることで、良くも悪くも、本質は同じ物事に対して「意味」を与えてしまいます。言葉を扱う仕事をしている以上、「言語化」が「意味」を与えてしまうこと、その「意味」はすなわち「先入観」や「偏見」になってしまうことを自覚していかないとならないなと、肝に銘じることが時々あります。

日本語では、あの赤い花のことを「バラ」と呼びますが、その名前の由来は「イバラの道」とかで使われる「茨・荊・イバラ」に由来します。日本語は、バラの花の持つトゲや痛みに着目して、名前を付けたみたいです。

一方、英語の「ローズ (rose)」。こちらは、古代ケルト語で「赤」を表す「rose」が由来らしいです。つまり、花の色をそのまま名前にしたんですね。

ラテン語を勉強したことがある人なら、必ず「rosa」の活用形は勉強したはず。ラテン語講義入門みたいな本を読んだときに、「rosa, rosae, rosam,,,,」と呪文のように唱えたのを覚えてます。結局僕は第二章くらいで挫折してしまいました。

ラテン語の「rosa」は、花を表すときは「バラ」ですが、色を表すときは「ピンク」を意味します。古代ケルト語では「赤」を表す「rose」が、ラテン語では「ピンク」になるんですね。
これは果たして、バラという花が最初にあって、そのバラの色を表す表現として「rose」という言葉を採用したのか。はたまた逆か。
調べてみても、どっちが発端なのかはわからなかったので、知っている人がいたら教えてください。

いずれにしても、赤やピンクは、現代の人がその色から抱くのと同様に、「情熱」とか「愛情」を意味する色になるので、西洋の人は昔から、バラの花にそういった意味を持たせたようです。

日本では「トゲトゲしいイバラの花」、西洋では「情熱の赤いバラ」になり、本質的には全く同じ花なのに、それを何と呼ぶかによって、その捉え方には大きな違いがありました。

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ヴェローナに『ロミオとジュリエット』の聖地があり、行ったことがあります(2018/4/25)


ライブ

音楽でいうと、僕はジャズやレゲエが好きです。この2つのジャンルの音楽は、「生」を感じられるところが好きです。
同じ曲でも、場所やシチュエーションが少し違うだけで、全然違う曲になります。音楽自体に遊びのための余白があって、ただただ楽譜通りに演奏したり歌ったりするのでなく、その場の空気を読んで、即興で色んなアレンジがあるのを、いかに楽しむかがこの音楽の肝であり、ここに「生」を感じます。

こういう音楽を「ライブ (live) 」って呼びますが、これはすなわち「生命」という意味になります。日本語では「生演奏」と表現したりしますが、こちらにも「生」に使われるような意味があります。

日本語と英語。かたや漢語から派生した中国由来の言葉で、かたやゲルマン語から派生しラテン語の影響を受けた西洋由来の言葉。まったく出自が違う言語なのに、その日、その時によって感じ方が変わるものを「生」と表現しているのが、とても趣深いなと思います。

社会人2~3年目のとき、すごく忙しくて、漢字のとおりに、「心を亡くす」くらいな気持ちになったことがあるんですが、そのときはずっと、「なんでみんなこんなに変化を望むんだろう。みんなが現状維持を望んでくれたら、こんなに忙しくないのに」と思ってました。

そんなときにとある本に出会い、「変化を望むということは、生きているということなんだ」ということを知って、だいぶスッキリしたのを覚えています。
生きているものは、常に変化を望みます。変化しない、ということはありません。自分では「変化しない」と思っている状況は、実は退化していることが多いです。周りが成長しているから相対的に、ではなく、絶対的に退化しています。

だから、人と人が集まってできた組織や会社という生命体は、変化を望んでしまうんだなということ、むしろ変化せずに現状維持をするなんてことは、生きているんだからあり得ないんだということを考えるようになりました。

でも、生きるのを楽しむには、遊びの余白が必要です。もちろん、計画的に物事が進むのに越したことはないんですが、その瞬間瞬間にある失敗やトラブルに対して、それを活用し、チャンスと捉えて、より良いものにしていく余白を持ちたいなと思います。

# Writer Profile
名前:Rhythm Tanaka
部署:CEO’s Office, HR Department
WOVN 歴:2018年5月~


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